福島市移住応援サポーター
アパレルショップ店長からゲストハウスのマネージャーへ!
福島県の北部、吾妻連峰に囲まれた土湯温泉は、豊富な湯量とバラエティに富んだ泉質、四季折々に表情を変える山なみに土湯こけしなどの郷土文化も魅力です。移住応援サポーターの一人、渡邉萌さんはこの地で生まれ育った生粋の土湯っ子。今、土湯で人と人をつなぐゲストハウスの運営に奮闘しています。
6年間、横浜でアパレル販売や買い付けに携わっていた渡邉さん。Uターンを決意し、まったく異業種の宿泊業に飛び込んだきっかけや、思い描く福島の未来について、たっぷりお話を伺いました。
実家は土湯温泉の老舗旅館。24時間体制の旅館業の大変さは、父母の姿からも感じていました。学生のころの私には、「ここで働く」というイメージはまったく持てなかったですね。短大では服飾を専門に学び、卒業後は郡山市で就職しました。
「20代は黒人文化やブラックミュージックに心酔していました」
横浜に移住したのは、東日本大震災の数ヶ月後です。「好きなことを仕事にしたい!」という思いが強くなったとき、目に飛び込んできたのがインポートアパレルブランドの求人でした。店長に昇格すると、ロサンゼルスへの買い付けも行うことができるというやりがいのある条件。一も二もなく移住を決めました。
横浜での暮らしは忙しくも楽しくて、夢だったロサンゼルス出張も実現! 充実していました。ただ、大好きな服に囲まれながらも、心のどこかには「いつかは福島に帰りたい」という思いも。東日本大震災の影響もあって人口が減り、観光業も痛手を受けている、ということを耳にするたびに、「少しでも福島の役に立ちたい」という気持ちもふくらんでいったのです。
そんなとき、旅館業を営む父から、土湯に新しくオープンしようとしているゲストハウスの構想を聞かされました。気軽に宿泊できる素泊まりの施設というコンセプトを聞いたとき、「私も力になれるかもしれない」とピン!と来ました。土湯で育った私が案内人役になって、若い人や外国からのゲストにも土湯の良さを伝えていけたら。そんなイメージがむくむく!
クリームイエローの建物がYUMORI。豊かな自然に抱かれる絶好のロケーションです。
母には「そっちで好きな仕事を続けたほうがいいんじゃない?」と心配されましたし、仕事を変えることへの不安はもちろんありました。でも、それよりも土湯のために何かできることがあるならやってみたい。それに、お客さまとのコミュニケーションには、アパレルショップで培った接客スキルも役に立つかもしれない。海外出張した経験は、外国人ゲストのおもてなしに活用できるはず。苦手なインターネット関連は、これから勉強を始めたってきっと間に合う。
そうやって不安をひとつずつ打ち消しながら、ふるさとでの新しいチャレンジに飛び込みました。
YUMORIのオープンの半年ほど前には、東京のゲストハウスで武者修行。お世話になった「ゲストハウス品川宿」は、地域と宿とお客さまをつなげる「感動の循環サイクル」をコンセプトに運営されている施設です。ここで学んだことは、YUMORIにもたくさん生かされています。出会いに感謝!
私がマネージャーを務めるホステル「YUMORI」は、新しい形の温泉滞在とコミュニケーションを提供する場所。最近は若い世代の温泉離れが進んでいると言います。その理由のひとつには、温泉宿は高価で敷居が高い、というイメージもあると思うんです。
「YUMORI」は食事の提供がない素泊まりの施設です。そのぶん価格を抑え、気軽に連泊していただける心地いい宿をめざしています。
夢は、湯治の文化を復活させること。温泉に浸かってリフレッシュしたり、ラウンジで地元の人やゲストとの交流を楽しんだり、土湯の人情味あふれる食事処で旬の味を堪能したり、。ラウンジをワーケーションの場所として活用してもらうのもステキ。YUMORIを拠点に、そんな新しい湯治のスタイルができたらうれしいです。
ラウンジにはキッチンも。食材を買い出してワイワイ料理をするのも楽しい!
実際にYUMORIでお客さまをお迎えしていると、心が温まるドラマにいくつもいくつも出会います。たとえば外国人のお客さまと仲良くなった方が「会津だったら、明日いっしょに連れてくよー」って案内役を買って出たり、温泉街にお散歩にいったお客さまが「お店のおばちゃんがお土産ってりんごくれたの」なんてうれしそうに教えてくださったり。
ここがさらなるコミュニケーションの場となれるよう、さまざまなイベントも企画しています。たこ焼きパーティ、フリーマーケット、音楽イベントなどのほか、結婚式の披露宴で利用された方も。スタッフ総出でラウンジを飾って、とてもすてきなパーティになりました。
福島に戻って1年と少し、強く感じるのは人の温かさです。温泉街に出かけたゲストのみなさんが笑顔で帰ってくるのを見ると、本当に誇らしいし、うれしい。
おおらかで外から来る人を受け入れる風土は、福島の魅力のひとつだと思います。キョロキョロしながら歩いていたら、「どこ行きたいのー?」なんて声をかけてくれる人がいて、親切に教えてくれる。一人で飲みにいっても、マスターやお客さんとなごやかにおしゃべりできるお店もたくさん! 道ですれ違えば、知らない人でも「おはようございます」「こんにちは」って挨拶をするような、そんな温かい土地柄です。
福島に頼れる知人がいない、という人も、きっとここに来れば自然に人とのつながりができていくんじゃないか、と思います。
年齢も国籍も関係なく、多様な人が集うYUMORIのラウンジで。
それに、福島市はなんといってもロケーションがすばらしい! 中心部から車で20分も走れば、自然がいっぱい。市内に温泉が3カ所もあってそれぞれに泉質が違うなんて、贅沢な環境ですよね。
私自身、福島から離れた時間があったことで、改めて気づいた宝物がたくさんあります。福島の人にとっては当たり前のことが、ここへ新しく来る方にとっては大きな魅力になることもあるはず。
移住・定住を考えている方には、ぜひ福島の空気を感じに来ていただきたいですね。短期のお試し移住のような形で、福島暮らしを体験するのもおすすめです。東京や仙台へのアクセスもいいから、二拠点生活にも向いているかも。
実際に訪れ、人と触れ合うことで、暮らしのイメージが広がるかもしれませんね。
私も「福島っていいところだな」「また訪れたい」「住んでみたい」と思う方がふえるような発信をしていきたいと思っています。
福島駅から徒歩3分の好立地も魅力のコワーキング・スペース&シェアオフィス。「起業家を応援したい」というコンセプトのもとに設計されたオフィス空間は、発想を広げるデザインのこだわりがあちこちに。Wi-Fi、電源、ホワイトボードや文具の貸出し、簡易キッチンなど設備も充実。登記も可能です。福島で事業を起こしたいというフリーランス、スタートアップ企業にもおすすめ。
フリーアドレスのコワーキングスペース。
住所:福島県福島市栄恵町1-35キャピタルフロントビル7F
渡邉さんがマネージャーを務める、ゲストハウス。広々とした大浴場は、美肌の湯としても知られる土湯温泉のお湯。立ち寄り湯も可能。客室は6タイプ全30室。ひとり旅、家族旅行、合宿でのチームビルディングなど、さまざまなニーズにこたえます。ラウンジは宿泊客以外でも利用可能。自由なコミュニケーションスペースとして活用できます。
開放感あふれる大浴場。
住所:福島市土湯温泉町字堂の上7-1
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